コーダーとしてのデザイン受注

web言語ロゴ

本章について

コーダーを勧める理由の章でも少し触れた内容ですが、本章では基本的にデザインをしないデザインに自信のないコーダー向けのデザイン付きコーディング案件に関する効率の良い受注の方法に関して記述していきたいと思います。

デザインもコーディングと同じくらいの比重で受注していきたい、デザイナーとしてもしっかり基本から学んで行きたいという人には向かない内容になります。

受注の流れ

まず自分からデザイナ―として売り込むようなコトはしません。
よって、クラウドソーシングサイトなどでデザインが関わる案件には応募しません。

ではどうやって受注に至るかというと、コーダーとして付き合っているクライアントさんに話をいただいた時です。

つまりデザインに関わるのはコーダーとして軌道にのってからというコトになるのですが、クライアントさん(特にWEBディレクター系)と付き合いが出来てくると、○○さんはデザインも出来ますか?というようなコトを結構聞かれるコトがあります。
デザインとコーディングを別に発注するより同じ人にやってもらえるならその方が何かと都合のよいコトが多いからです。

その際にどういった対応をするか対応を決めておくと、楽なデザイン案件を得ることが出来ます。

受注のポイント

押さえておくポイントは5つ

  1. 正直にデザインは得意ではないコトを伝える
  2. デザインにこだわりが強いか聞く
  3. 参考サイトを挙げてもらう
  4. 素材は原則用意してもらう
  5. 一般的な相場より安くデザイン受注する

以上5点を押さえておきます。
箇条書きで出した段階ではイマイチわからないと思いますが、このポイント押さえた受注案件はかなり楽です。

次に具体的にどうポイントを活かしていくかを記載していきます。

まず出来ないと断ってしまうと話は終わってしまうので、1で挙げたように絶対出来ない訳ではないけど得意ではないので普段は率先して請けていないというコトを正直に伝え、2で挙げたデザインに強いこだわりがなく自身の提案する内容で問題ないのであれば請けれるというコトを伝えます。

これで暗にデザイナーとして高クオリティなモノを求めないでくださいと押さえを入れることが出来、依頼の決定権はクライアントさんにありますが、受注者側が陥りがちな何でも相手に合わせて言うことを聞く立場ではなく、こちらが制作しやすい状態を約束させるコトが出来ます。クライアントさん側がクオリティの高いオリジナリティあるものを求めているなら話は終わりでしょうし、そこまでデザインにこだわりがない案件であれば話を進めてくれます。

次に出す条件として、制作方法に関して参考サイトを挙げてもらいそれに準じたサイトを作成する形で大丈夫か確認を取ります。

端的に言うと他サイトを真似するという形で、良く言えば他サイトをオマージュするという方式です。

素材から配色、文章までも参考サイトのモノから流用するとなったら問題ですが、レイアウトや構成を利用するのは問題ありません。

ある程度サイトを見てくるとわかると思いますが、サイトのレイアウトや構成はほとんどパターン化してます。

コーポレートサイトなどは顕著で、メインビジュアルは横幅100%表示でメインコンテンツは1000px前後、セクションによっては背景だけ100%にし、中は3列か2列でブロックを作るなどが多いです。

参考サイトを挙げてもらったら、自身でも参考サイトを探します。

どうして別の参考サイトも必要かというと、挙げてもらったサイトだけを参考にするとそれに近づきすぎてしまうからです。
クライアントさんとしても参考サイトのコピーサイトを作ってくださいと依頼している訳でなければ、あまりにも似過ぎていると抵抗が出来てしまいますので、別の参考サイトの要素を取り入れていきます。「WEBデザイン ギャラリーサイト」と検索すれば、いくつか様々なサイトを配色や職種などでカテゴリわけしてくれている大変ありがたいサイトが見つかります。

そこで参考サイトに似たサイトをさらに参考にしたり、依頼の業種と同じサイトをみて取り入れられる部分があれば、少し変えて取り入れてみます。

私自身、普段コーダーとして働いていますが、クライアントさんに今度こんな感じのサイトを作ろうと思っていますが、概算でコーディング費どれくらいになりますか?と御見積依頼をされるときに参考サイトを教えていただくのですが、その後受注が決まりデザイナーさんからデザインをいただく際に「参考サイトのほぼ色違いなだけやないか!」と思うことは結構あります。

発注者さんの要望もあるでしょうし、全てのデザイナーさんがそういう訳ではないので一概には言えませんが、デザインを専門としてやられている方でも参考のモノにイメージが引っ張られたり、使える部分はそのまま流用して作成しています。

勘違いしないでいただきたいのですが、これらの話はコピーをすすめているという話ではなく、クライアントさんがデザイン面にこだわりがなく自身もデザインに自信がないのであれば、世の中に溢れているサイトはだいたいパターン化しているので他サイトを参考にすれば、それなりに整ったサイトはコーダーでも作れますよと言うことです。

次に、押さえておきたいポイントとして素材(サイト内で使う画像など)を用意してもらえるか?という部分なのですが、結構大事な部分です。

デザインの勉強をすると配色や余白の使い方などがフィーチャーされがちですが、素材、特にどういう写真使うかというのはサイトの見栄えをつくるのに重要で、WordPressなどのテーマテンプレートを使うとよくわかりますが、デモサイトは凄く素敵に見えるのに自分で作成したサイトは全く同じ構成のなのに画像が違うだけでパっとしないというコトは往々にしてあります。

素材を用意していただけるのであれば問題ありませんが、こちら任せだと手間が増えるので大変になります。

基本的にコーダーとして活動している人は素材サイトの有料会員などにはなっていないので、使うとした場合フリーの素材を利用するケースが多くなります。もちろん有料会員であったり、定額制ではなく買い切りのモノもあるのでそれを利用する方は、それはそれでかまわないですが、フリー素材を利用する場合はイメージに近いものがない可能性など想定されますので、そういったデメリット部分の押さえを入れておきましょう。

イメージに合わないなどのリスクを回避したければ、デザインカンプの段階では仮の画像を入れておくので、実際に公開する画像はクライアントさまの方で探していただき必要であれば有料で購入してください。というようなコトも押さえで伝えておくとこちらの負担が減ります。

ただ、元素材は提供していただく形でもメインビジュアルの制作や画像の加工などはこちらで担当する形にはなりますので、デザインソフトはある程度使える状態になっていないと受注は難しいです。

そして最後にデザインの受注額に関してですが、当然一般的な相場より安く見積もりを出します。
上記のような条件を出しているのに、デザイナーに発注したのと同じくらいだったら専門でやっている方に発注した方がよいので、融通が利かない分、金額的なメリットがないと依頼はしてくれません。

メインビジュアルをどれくらい作り込むか、素材の加工量、素材用意の有無などによって見積り額は変わってきますが、目安としては相場の半分くらいで提示出来たらよいかなと思います。
クライアントさんの中にはとりあえずホームページが欲しい、よほど変なモノにならない限り安く制作出来るならありがたい。という人が一定数いますので、こういった制作方法は一定の需要があります。

デザインデータの作り方はコーダーとしてデザイナーからデータをもらうようになれば、何となくわかると思いますが、ひと通りどういう流れでデザインカンプを作るかは専門でやらないにしても頭に入れておくとよりスムーズに進めることが出来ると思います。

また、クライアントさんの方に時間的余裕があり、自身にも時間に余裕があったりデザインの勉強をしていきたいと考えられているなら成果報酬的な形で提案してみるのもアリです。上記の流れで話を進めていき、とりあえず作成してみますので気に入らなければ遠慮なく他の方にお願いしてくださいという形です。
このやり方はページ全体のデザインだけではなく、メインビジュアルの制作など部分的な相談があった時にも有効です。

コーダーとして信頼を得ているのであれば、デザインがダメだったとしてもコーダーとしての仕事は継続してくれますし、あらかじめ得意ではないと伝えた上でのコトであり気楽なスタンスで仕事の幅も広がっていきますので、機会が来れば是非挑戦してみると良いと思います。

クライアントの奴隷にならない

ここまでひと通り読まれた方は感じていると思いますが、コーダーがデザイン案件をトラブルが起きにくく楽に請けるためにはとにかく押さえを入れておくことが大事です。

押さえ押さえ押さえというとあまり印象がよくない感じがしますが、通常の依頼を請ける場合でもある程度のルール・条件がなければスムーズに納品まで行きにくくなります。

デザインを担当する際に大変なコトとして、当たり前といえば当たり前ですがクライアントさんが納得の行くモノを作りあげるコトです。

コーダーを勧める理由の中でも触れましたが、こちらが圧倒的な自信や経験を持っている突き抜けたデザイナーであれば、有無を言わさず自分の作品を押し通すコトも出来ますが、一介のWEBデザイナーであればクライアントさんの納得が行くまで修正が続きます。

もちろん全てのクライアントさんで大変になるというコトではないですが、他の案件も抱えている中、何度もやり取りが続き時間を取られるというのは結構精神的にも疲れるモノです。

明確に指示や意見をくれる方ならまだよいですが、漠然と伝えてこられる方や、平気で「もう2,3パターン作れます?」などと聞いてきたり、先日と言ってることが真逆になるという方も実際いるので良かれと思いすぐに修正したら「もう修正しちゃいました?やっぱりあそこはこうしてください」などとやり直しになるコトもあります。

と、この記事を書いている今まさにコーディング依頼を請けているディレクターさんから「確定してお渡ししてあるデザインに修正が入りました…追加費用でかまわないので対応出来ますか?」という連絡が入りました。

コーディング作業に入ってからのデザイン修正はコーダーも困りますが、ディレクターさんがしっかりしていれば費用にしっかり触れてくれます。
コーディングはデザインによって作成方法が変わったり、デザインが完成したということで渡され着手しているので、追加費用に触れるのは当然といえば当然ではありますが、デザイナーの場合どういう条件になっているかによりますが、追加費用はとらないケースが多い印象です。

悪い部分だけを挙げているので印象はよくないと思いますが、妥協点や時間による制限を決めておかないとデザイン作業はだらだらと続きスケジュールをどんどん押していってしまいます。

そういった問題が予め起きないようにしておくコトが出来たとしたら大変制作はスムーズに進みます。
そしてそのような問題が起きないような状況を作る方法が前の項であげた5つのポイントです。

実際のところ押さえをこれだけ入れておいても、軽微な修正は出ることはあります。
ただフルスクラッチのような方法ではなく、組み立て式でデザインしていくので大変楽ですし、何よりあらかじめデザインは得意でない分、安くしてるので文句は言わないでください的な感じでスタートしているので精神的にとてもよいです。

ここで挙げたコトを全て取り入れる必要はありませんが、デザインが得意でないコーダーがデザイン案件を請ける時は、いかに問題が起きないように手間がかからないようにと自身にとってどう有利な状況を作るかを意識して受注すると大変スムーズな制作が可能になりますので、参考にしてみてください。

Categories: